●記者会見でプロ団体関係者の登壇はなし |
麻雀をプロスポーツ化「Mリーグ」発足。AbemaTVが全試合配信、川淵三郎最高顧問 https://t.co/O62BRGzdLo pic.twitter.com/86c8P9iqps
— AV Watch (@avwatch) 2018年7月17日
●藤田晋社長による麻雀界・無血クーデター? |
このMリーグ構想、まず驚いたのが、リーグ選手の賭博行為を禁じ、関係が判明した場合には解雇などの厳重な処分を科すという「ゼロギャンブル宣言」の発表でした。
現在、プロ団体に所属する多くのプロたちは、公開対局などプロ活動での収入はほとんどなく、副業がない者は、雀荘勤務やその経営、雀荘イベントのゲストなどで日々をまかなっています。この「ゼロギャンブル宣言」は、Mリーグに所属した時点で、友人たちとの賭け麻雀はもちろん、そういった雀荘業界側との仕事の関わりも一切断つように命じているわけです。
程度の差はあれど、プロ団体は雀荘業界とは持ちつ持たれつです。特に最近は、女流プロの活躍が顕著となったことで、雀荘側が女流プロを専属として勤務させる事例も多くなり、大会やイベントの開催、動画コンテンツの配信などをプロデュースすることで、結果、麻雀プロの売り出しにも一役買っていました。
しかし、このフリー雀荘の営業システムと麻雀プロとのうやむやな関係が、一般企業からスポンサーを受け入れるのに大きな障壁となっていたのも事実です。ついに藤田社長は、長年存在していたこの問題にメスを入れたのです。
ひとまず、プロ団体側の現実的な対応策としては、Mリーグを数多あるタイトル戦のひとつ(サッカーのチャンピオンズリーグのようなエクストラステージ)として扱い、雀荘業界といきなりパートナーシップを解消することもないでしょう。雀荘業界も、「Mリーガー」の代わりになるような、新たな有望麻雀プロをスカウトしていくことになると思います。
ただ、その日の夜に放送されたAbemaTVのニュース番組「Abema Prime」に藤田社長が出演し、Mリーグ設立に対し「本当はフルで8チーム。M2リーグという下部リーグで入れ替え戦を戦い、将来的にはシニアリーグやプロリーグ、地方大会、という風に麻雀の文化を広めていきたい」と発言しました。
「麻雀はビジネスの師匠。配牌のようにスタートはみんな不平等」 #サイバーエージェント #藤田晋 が #Mリーグ 設立と #麻雀 に懸ける思い
— AbemaTIMES (@AbemaTIMES) 2018年7月19日
▶詳細は記事をhttps://t.co/jH8oyhfrak pic.twitter.com/S9rGyIPtno
●麻雀界の未来は「受け入れる」のではなく「一緒に作り出す」もの |
プロ団体側からすれば、Mリーグ構想で「外堀が埋まったかな?」くらいに悠長に思っていたのかもしれません。しかし実際は、外堀・内堀はおろか、プロ団体という天守閣の横に巨大な「あべのハルカス」を建てられたのです。もしくは、城の頭上に「天空の城ラピュタ」が作られたといっていいでしょう(笑)。
本来ならば、この数年だけで何億(何十億?)もの金額を麻雀界へ投資してきた藤田社長に対して、プロ団体側は、「団体の垣根を越えた統一ランキングの実施」や「一般企業がスポンサーとして参入しやすい(=雀荘業界との関係見直し)地盤作り」などを提示し、「プロ麻雀界の発展」についてもっと活発に行動すべきだったのではないでしょうか。
Mリーグは、動きの鈍いプロ団体に見切りをつけ、藤田社長が麻雀界へ突きつけてきた一つの「回答」です。あの発足の記者会見のステージに、プロ団体側の代表は上がろうにも上がれなかったのです。
SNSで藤田社長へ感謝や歓迎の意を述べていた麻雀プロ側の皆さんは、そのことに気づいていたのでしょうか? 本当にMリーグは、麻雀業界が一丸となってぶつかり、勝ち取った成果なのでしょうか…?
Mリーグ発足でプロ団体は今後、厳しい課題をクリアしていかねばなりませんが、それもこれも、プロ団体がそれぞれ自団体の利益のみを優先し、スモールビジネスで満足して業界全体の宿題を後回しにしていたツケが回ってきたと反省するべきです。ある意味、雀荘業界は、今回のMリーグ設立においては最大の「被害者」かもしれません。
このMリーグ構想は、世間が思う「麻雀」というゲームの概念を覆す歴史的なプロジェクトであり、まさに麻雀界の未来がかかっています。しかしそれは、藤田社長一人が作り出せるものではありません。今度こそ、この麻雀界に関わるすべての人間が一丸となって、新たな一歩へと進み出すべきなのです。
Mリーグ、大いに期待しています。