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かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

「Mリーグ」は誰のための機構なのか?

●記者会見でプロ団体関係者の登壇はなし


(今回はまじめバージョンでいくからね)

7月17日、かねてから業界ではいろいろとささやかれていた麻雀プロリーグ構想である「Mリーグ」の発足が、代表理事(チェアマン)となるサイバーエージェントの藤田晋社長から発表されました。

企業チームの発足、川淵三郎氏の最高顧問就任、チーム賞金5千万…想像をはるかに超えたスケールの大きさには率直に大変驚きました。ただ、記者会見をステージ下で見つめていた麻雀界の人間は、あのセレモニーをどう感じていたのでしょうか? SNSを見ると皆さん一様に歓迎しているのですが、どこか他人事というか…。

よくよく考えてみてください。今回の主役は、本来なら今後Mリーグの選手として活躍することになる、現在の主要プロ5団体に所属する競技選手のはずです。

しかし、実際の記者会見セレモニーに登場したのは、藤田社長、川淵三郎氏、Mリーグ7チームに加盟する企業トップ、それに俳優の田中圭さんと本郷奏多さんでした。ドラフト前ということで、公平を期すために麻雀プロはステージへは上がらなかった…と解釈できるにしても、その場で各プロ団体の代表を紹介するくらいはできたはずです。しかし、それもなし。

藤田社長が描いたイメージ戦略の一環に過ぎないかもしれませんが、このあたり、Mリーグ発足に対して、プロ団体側がどういう形で関わってきたのかが、だいたい想像できます。

●藤田晋社長による麻雀界・無血クーデター?


このMリーグ構想、まず驚いたのが、リーグ選手の賭博行為を禁じ、関係が判明した場合には解雇などの厳重な処分を科すという「ゼロギャンブル宣言」の発表でした。

現在、プロ団体に所属する多くのプロたちは、公開対局などプロ活動での収入はほとんどなく、副業がない者は、雀荘勤務やその経営、雀荘イベントのゲストなどで日々をまかなっています。この「ゼロギャンブル宣言」は、Mリーグに所属した時点で、友人たちとの賭け麻雀はもちろん、そういった雀荘業界側との仕事の関わりも一切断つように命じているわけです。

程度の差はあれど、プロ団体は雀荘業界とは持ちつ持たれつです。特に最近は、女流プロの活躍が顕著となったことで、雀荘側が女流プロを専属として勤務させる事例も多くなり、大会やイベントの開催、動画コンテンツの配信などをプロデュースすることで、結果、麻雀プロの売り出しにも一役買っていました。

しかし、このフリー雀荘の営業システムと麻雀プロとのうやむやな関係が、一般企業からスポンサーを受け入れるのに大きな障壁となっていたのも事実です。ついに藤田社長は、長年存在していたこの問題にメスを入れたのです。

ひとまず、プロ団体側の現実的な対応策としては、Mリーグを数多あるタイトル戦のひとつ(サッカーのチャンピオンズリーグのようなエクストラステージ)として扱い、雀荘業界といきなりパートナーシップを解消することもないでしょう。雀荘業界も、「Mリーガー」の代わりになるような、新たな有望麻雀プロをスカウトしていくことになると思います。

ただ、その日の夜に放送されたAbemaTVのニュース番組「Abema Prime」に藤田社長が出演し、Mリーグ設立に対し「本当はフルで8チーム。M2リーグという下部リーグで入れ替え戦を戦い、将来的にはシニアリーグやプロリーグ、地方大会、という風に麻雀の文化を広めていきたい」と発言しました。


そうなると、プロ団体側は一刻の猶予もないかもしれません。

Mリーグ側に多くのリーグが増え、たっぷりとプロ選手が流出することにでもなれば、プロ団体は単なるMリーグへの人材供給基地となり、いわば「ジム」や「道場」としての役割でしか存在できなくなります。Mリーガー以外の麻雀プロが雀荘で働くことも、悪く書けば「ドサ回り」化することになるでしょう。現状のシステムで既得権益を握っていたプロ団体と雀荘業界は、抜本的な構造改革が余儀なくされるのです。

●麻雀界の未来は「受け入れる」のではなく「一緒に作り出す」もの


プロ団体側からすれば、Mリーグ構想で「外堀が埋まったかな?」くらいに悠長に思っていたのかもしれません。しかし実際は、外堀・内堀はおろか、プロ団体という天守閣の横に巨大な「あべのハルカス」を建てられたのです。もしくは、城の頭上に「天空の城ラピュタ」が作られたといっていいでしょう(笑)。

本来ならば、この数年だけで何億(何十億?)もの金額を麻雀界へ投資してきた藤田社長に対して、プロ団体側は、「団体の垣根を越えた統一ランキングの実施」や「一般企業がスポンサーとして参入しやすい(=雀荘業界との関係見直し)地盤作り」などを提示し、「プロ麻雀界の発展」についてもっと活発に行動すべきだったのではないでしょうか。

Mリーグは、動きの鈍いプロ団体に見切りをつけ、藤田社長が麻雀界へ突きつけてきた一つの「回答」です。あの発足の記者会見のステージに、プロ団体側の代表は上がろうにも上がれなかったのです。

SNSで藤田社長へ感謝や歓迎の意を述べていた麻雀プロ側の皆さんは、そのことに気づいていたのでしょうか? 本当にMリーグは、麻雀業界が一丸となってぶつかり、勝ち取った成果なのでしょうか…?

Mリーグ発足でプロ団体は今後、厳しい課題をクリアしていかねばなりませんが、それもこれも、プロ団体がそれぞれ自団体の利益のみを優先し、スモールビジネスで満足して業界全体の宿題を後回しにしていたツケが回ってきたと反省するべきです。ある意味、雀荘業界は、今回のMリーグ設立においては最大の「被害者」かもしれません。

このMリーグ構想は、世間が思う「麻雀」というゲームの概念を覆す歴史的なプロジェクトであり、まさに麻雀界の未来がかかっています。しかしそれは、藤田社長一人が作り出せるものではありません。今度こそ、この麻雀界に関わるすべての人間が一丸となって、新たな一歩へと進み出すべきなのです。

Mリーグ、大いに期待しています。


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プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの53歳。
   ゴミのような人生。
   五味龍太郎のような人生
   ではない。
職業:「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス・F1観戦、お城の
   旅行、坂道グループ鑑賞
   ほかいろいろ
貯金:マイナス100万
   (助けて…)
ギャンブルの負け金:約1800万(減らんなぁ…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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