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かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

必殺仕事人(2018)

●勧善懲悪「仕事人」 中村主水は夢ん中


ずいぶん昔、このブログとは別に「かっぱがれ編集・秋の森羅万象ポンコツレビュー」という、ドラマやCDなどの作品に関しての感想を書くブログをやっていました。

Twitterで作品感想をざっくばらんに書くようになったので、そのブログは閉鎖(過去記事はこのブログ中にまとめてあります)したわけですが…。

が、しかし。
昨日放送された「必殺仕事人(2018)」が、「必殺」ファンの私から見てあまりにもクソ酷く、シリーズ史上最悪の出来どころか、過去の「必殺」シリーズの足を引っ張る超絶問題作で、Twitterの140字では書き尽くせないほどツッコミどころが満載だった
ため、誰も興味がないとわかっちゃいるんですが、今まさに華麗に復活と相成りました。

工藤栄一監督ーっ、天国から自分のこの想いを読んでやってくださーい!(大げさ)。

①冒頭5分で裏稼業の概念破壊

冒頭の談合シーンで、陣八郎の「いい憂さ晴らしになるな」の発言にリュウが反発、涼次は「金で請け負ったらただの仕事だ」とリュウをからかい、「この稼業が続けられるのは、世のため人のためになればこそ」というリュウに、小五郎は「そういう思い上がりは感心しない」と突き放します。

この辺の若き仕事人の葛藤に関しては、「仕置人」の棺桶の錠や「仕事人Ⅲ」での順之助でも描かれていて、シリーズが続く中でも解釈が揺れている部分。この後のストーリーに関連する伏線でもありますが…。

しかし、必殺の基本理念は、「仕掛人」のOPナレーション「はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す」であり、「仕置人」の「のさばる悪を何とする 天の裁きは待ってはおれぬ この世の正義もあてにはならぬ 闇に裁いて仕置する」です。
だからこそ、「仕置人」第1話のラストシーン、念仏の鉄の「おめえみてえに世のため人のためなんて綺麗事言ってたんじゃ、すぐへたばっちまうんだよ」というセリフが生きてきます。彼らは大手を振って世の中を闊歩する悪人を常に許せないと思っていますが、そいつらを仕置するには金銭がなければ完遂できないと悟っているのです。

他シリーズも同様で、仕事人たちは殺し屋としての非情さを語ることはあれど、行動原理は「悪を憎む感情」なんです。「頼み料」はドラマとしてのひとつの演出装置なだけであって、ストーリーがそれに縛られては本末転倒になってしまう。

今作品の冒頭のシーンだけ見たら、メンバーは(特に涼次は)ただ金のためだけで仕事を請け負っています。悪を憎む心は皆無。他作品では「外道仕置人」として始末されても仕方がないほどのマインドぶりですw

仕事人が非情であることは、必殺シリーズにおいては「スパイス」であって「主食」ではありません。非情な殺し屋集団を描くハードボイルドドラマならいざ知らず、「のさばる悪を仕置する」という「必殺」シリーズの最も大切なエッセンスを見失っていることが、冒頭5分で早くも露見しちゃってるんですよね…。

実は「仕事人2007」として復活して以降、スタッフの口から「ハード路線(単に「ハードっぽいってだけなんだけど」)」が語られることがよくあるんですが、上記のことがスポーンと抜け落ちていたりします。この「ハード路線」こそ今作品をギッタギタにぶち壊したキーワードなので、頭に入れておいてくださいw

②東山、ほっしゃんを華麗に惨殺

冒頭でリュウが仕事の際、娘の敵討ちに現れた喜平に顔を見られ、それを見た小五郎はためらうことなく喜平を斬殺。
「頼み人に顔を見られたらどうするか、忘れたか!」とリュウをぶん殴ります。

…アホかっ! お前、その前の仕事で、顔を見られた従者を殺さずにみね打ちしてんじゃねーか!

顔にマフラーしてるから平気って論法なんだろうが、そんな目が切れ長でしょうゆ顔した同心、誰でもすぐわかるよっ!w

さらに最後の殺陣で、顔を完璧に見られてる長見玲亜ちゃん(どうでもいいけど、この娘と清原果耶ちゃん死ぬほどかわいいね、この辺のチョイスは大当たりw)には「こんなことしてる暇があったら、漢字の一つでもおぼえろ!」で終わりとか…。

なんだよ、ほっしゃんは殺して玲亜ちゃんは殺さないのかよ!わかるけどひどいよ!www

まあ、顔がバレるバレないをドラマとして突っ込むのは野暮な部類ではあるんですが、やはり看過できないのは小五郎が喜平を斬り殺すのになんの苦悩もしていないこと。
上記で触れたとおり、これも「ハード路線」の演出なんでしょうが、ホント、スタッフはバカじゃないかと思うんですよ。

正気ではないとはいえ、喜平は普通に被害者です。
その善良な市民を斬殺した小五郎がこのあと悪人を仕置して、視聴者は小五郎に感情移入できますか?

設定ではいいんですよ、「仕事を見られたら殺す」で。
だけど、実際にそれを見たら視聴者がドン引くし、ドラマとしても必然性がまるでありません。だから、過去シリーズでも仕事人が目撃者を殺したシーンはないんですよ。仕事を見た人間は、なんらかの理由で仕事人以外の人間に殺されるのがほとんど(「新仕事人」最終回とか)。

今作品なら、「喜平は相手と同士討ちで果てる」ってストーリーにしちゃえばいいじゃないですか。そこに小五郎が入ってきてリュウを咎めるだけで、ドラマとしては十分なんですから。ズレた「ハード路線」の悲劇というか、ドラマ演出としては逆効果なことに脚本家やスタッフは気づかなかったのでしょうか?

ちなみに「仕事を見られたら殺す」という掟は、逆に「殺すべき目撃者を殺さない」ドラマ演出のためにあるといっても過言じゃないと思います。「仕置屋稼業」1話での市松が女の子に殺しを見られ、竹串を向けるとその子が盲目であることに気づき、優しく抱き上げる話とか。

前述の「新仕事人」最終回では、秀は10年ぶりに会った目撃者の娘を殺せず、勇次と対立します(考えてみれば、今回の幻楼と小五郎のB面みたいな話ですな)。そして、自分の窮状を顧みず娘を逃がしたものの、結局彼女は亡くなってしまい、涙して裏稼業の虚しさを噛み締めるのです。

しかし小五郎にいたっては…喜平殺しに何の感傷もなし! なんなのそれ?

こんなの、ただの殺人常習者じゃないですか。視聴者はどこにカタルシスを解消する要素があるんですか。開いた口がふさがりませんよ…。

③中村主水を頼み人にする愚挙

そして、「必殺」世界観が徹底的に破壊されている今作品の中でも、過去現在未来の「必殺」ファンを冒涜する暴挙だと思うのがこれです!

両親の仇である幻楼を殺すのに「頼み人」がいないため、「ただの人殺しになってしまう」と憂う小五郎に、「仕事料」を払う主水。「これでせめて、鬼でいられそうです――」と安心する小五郎…。

って、ふざけんなよっ!
わざわざ昔の映像引っ張り出してきて、主水さんに何させてんだよ!(大激怒)

旧作を見てる方ならわかる通り、こういった依頼人がいない場合、「依頼人は…この俺だ」で、その金をみんなで分けて仕事するのがよくあるパターンです。つまり、「頼み料がない」ことは重大な事件でも何でもないんです。①でも触れたように、「頼み料」はただの演出装置なんですから。

こんな倒錯したエピソードをあたかも「仕事人の哲学」として偉そうに演出できるのは、ひとえに「必殺」シリーズの大切なテーマ「はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す」を見失っているからに他なりません。

しかも、そんな「必殺」世界観の完全破壊を、「必殺」シリーズ最大の主役である中村主水の映像をわざわざ持ち出して行うというイリーガルっぷり!
お前たち、本当に藤田まことさんに祟られるぞ! 

制作側にとって、「ただの人殺し」ってのはどういう人物のことを言うんでしょうかね?
こだわっちゃうけど、殺しの目撃者である喜平を無残に殺し、一顧だにしない人物なんて、すでに「ただの人殺し」でしかないと思うんです…。

④イベントましまし設定スカスカ

もう、あとは破綻した設定を箇条書きで挙げていきますが…。

・キャラをとにかく詰め込むだけ詰め込んで、人物像が崩壊しちゃってる壬生の幻楼!

・冒頭で喜平に武器を持たせて敵討ちをけしかける意図が不明だし、雀蓮がリュウを襲い、記憶喪失のまま囲い込んでる目的もよくわからん!

・大量の武器・弾薬・暗器を用意してるのに、大乱を起こそうとしている気配はないし、その費用や子供たちを囲う生活費がいったいどこから出てきてるかもわからん!
パトロンのすずらんもまったく同様! どこにその金あんの!?

・おりんとリュウが涼次を見逃した代償として、若夫婦に演じさせて人間爆弾にする…ってなんなの!? もともと焙烙玉抱えさせてたくさんの人間を爆死させるのがデフォなんだから、特別な感じがまったくしないじゃん!
しかも、おりんは始末してリュウは殺さないってロジックも不明だし!

・すずらんの死に方なんなの!幻楼に斬られて川に落ちた後、しばらくしてから船にしがみついて絶命とか、ゾンビか! よくそんなかっこ悪い死に方を黒木瞳さんにさせたな!


…ぜいぜいぜい。

とにかく物語にイベントを盛り込みすぎて、細かな設定がおざなりなんですよね。
爆発のCGがチャチいとか、奉行所の看板がパソコンのフォントっぽくて丸文字とかは、実はまだ許せる方で。

テレビの制作現場が時代劇を作れなくなってきているって話は知ってますが、こうなると、時代劇・現代劇関係なく、ただドラマ作りの基本を知らないだけなんじゃないかと思うんですよ…。

* * * * * * * *

ホントは今作の筋立てって、ちゃんと「必殺」シリーズのテーマを理解していれば、もっとシンプルに作れたんじゃないでしょうか。

急進派を装い、多くの子供たちを死に追いやる大悪党・幻楼と、最強の参謀・雀蓮。
幻楼に騙された悲劇のヒロイン・すずらん。

幻楼に刺されたすずらんが仕事人たちに殺しを依頼。


こうするだけで、幻楼と雀蓮のキャラも描き込めた(特に雀蓮はもっと強さを際立たせた人物にしておけば1vs3の殺陣も説得力が増したはず)し、すずらんに感情移入できるエピソードもできて、変な死に方もしなかったはずなんですw
主水出演を売りにしたいなら、過去の殺陣シーンを抽出して挿入すればよかっただけだし。

前作の「仕事人2016」はよくできていたんですけどねー。

奉行所リストラにまつわる悪事を働く朝比奈一味の手にかかり、非業の死を遂げた小五郎の同僚・結城の恨みを晴らす…というシンプルなストーリーに、はつ・お絹らの家族エピソード、幼馴染・鬼頭と同僚・河原崎の裏切りなどが肉付けされており、安田顕・田口浩正の好演も相まって、最高のカタルシスをもたらしていました(最後に切腹を朝比奈が懇願するエピは蛇足だったけど)。この10年で最も成功した「必殺」スペシャルだったかもしれません。

それが今作となると、まずストーリーの根幹がおかしい上に、肉付けにならないところばかりエピソードが膨らんで、結果、視聴者がなんの満足感も得られないという地獄の結末…。

「ジャニーズ必殺」と揶揄されるようになった「仕事人2007」以降で、レギュラーキャストの演技に物足りなさが残るのも事実なんですが、不満なのはそこじゃないことが改めてよくわかりましたよ。むしろ、レギュラーキャストは被害者といってもいい。

結局、「必殺」マインドを失ったスタッフが作る「必殺」は、たとえ中村主水の映像を引っ張り出してきても、「必殺」のイミテーション時代劇にしかならないのです――。

最後にひとこと言わせてもらいます。

「スタッフ、てめえら必殺仕置人第1話『いのちを売ってさらし首』を100回見直してこいっ!」


またもや長文失礼いたしました。
久しぶりに「必殺魂」が着火しましたよ、まったく…。ファイヤー!


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プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの49歳。
   織田信長なら天下統一寸前で
   死んでる。
職業:「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス観戦
   ハロプロ・乃木坂46鑑賞
(おいおい、増えちゃったよ)
   ほかいろいろ
貯金:0万(なくなりました…)
ギャンブルの負け金:約1800万(順調に増えてます…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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