かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

ロッキー堀江さんのこと

最近の「近代麻雀」読者にとっては、あまりなじみもないかもしれませんが…。

第3期鳳凰位であり、大宮で「賭けないマージャンの専門店SPロッキー」を経営されていたロッキー堀江さんが、平成27年1月12日未明に亡くなられました。(享年62歳)
詳細はこちらのブログをご覧いただければ――。

大柄な体躯。
私服で愛用されていたオーバーオールのGパン。
古代ギリシャの彫像のように、豊かに蓄えられたあごひげ。
何よりも、いつも満面に笑顔をたたえた、温和な人柄。

対局や麻雀教室中にウィットネスとして佇む仙人のようないでだちは、まさに「麻雀伝道師」の異名にぴったりでした。

詳しい堀江さんの過去プロフィールは、はるか昔「牌の音(秘)ストーリーズ」で描かれていたことがあったのですが…コミックスに掲載されていたかなぁ。
(わかる人がいたら教えてください)

ここでは弔辞として、今まで堀江さんと一緒にお仕事をして、印象深かったことを…。

* * * * * * * *

95年の春のことです。
竹書房でアルバイトしていた自分は、1年間在籍していた「近代麻雀」から今はなき「近代麻雀オリジナル」へと異動することに。
当時の上司で、すでに竹書房を退社予定だった福地ハカセから、

「麻雀が弱い秋なら最適だろ、これ担当しながら少しは勉強しろ」

…ということで、誌面下段に掲載されていた「何を切る!?」、通称「何切る柱」の担当を引き継ぐことになります。

その「何切る柱」の当時の設問者が、ロッキー堀江さんでした。

この頃の自分といえば、編集部のメンツと毎日のように麻雀を打って一ヶ月で30万近くやられ、本部長と編集長から「麻雀禁止令」が出されたくらいの、かっぱがれ全盛期w
そんな雀力で激烈に劣る編集アルバイトの指摘する、何切る問題や解説文のトンチンカンな修正に、堀江さんは嫌な顔ひとつせず、つき合ってくれました。

その後、女性麻雀プロの津嘉田三起子(通称つかピー)さんと漫画家の花摘香里さんが主宰する女の子だけの麻雀サークル「たまご組」に、堀江さんも講師として参加します。
自分も「たまご組通信」という連載記事を担当していたので、定例会や合宿など、堀江さんと一緒になることがさらに多くなりました。

そんな「たまご組」合宿でのこと。
自由時間に、講師のつかピーや愛澤圭次プロ(現名翔位ですね)と一緒に、堀江さんが麻雀をしておりました。

ところが、見ているとどうも打っている内容が普段の麻雀と違う…。

堀江「ロン、ピンフ。160点」

なんですか、その点数はw

なんと、そこで打っていたのは、今のリーチ麻雀ルールのルーツである、古式ゆかしき「アルシーアル麻雀」だったのです。
きょうびの若い麻雀プロで、アルシーアルのルールがわかる方っていらっしゃるんでしょうか?

堀江「地味だけど、アルシーアルは面白いよ。このルールで打ったら麻雀強くなるからね」

熟練者はどちらかというと、サンマやブー麻雀など、刺激を求めてインフレル-ルに走りがちだと思うのですが、ストイックにアルシーアルを打っていた講師の皆さんの姿に、つくづく感嘆した記憶があります。

* * * * * * * *

堀江さんの業績で自分が特に皆さんにお伝えしたいのが、初期の麻雀最強戦で競技委員長を務めていたことです。

この辺の委員長を担当された経緯は自分にはわかりません。
ただ、初期の麻雀最強戦は「各麻雀団体のタイトルホルダーや著名雀豪が一斉に集うオールスター麻雀大会」という形でした。
競技麻雀の経験を踏むベテランでルール関係にも明るく、プロ連盟を退会した後どこの団体にも属さなかった堀江さんこそ、オールカマー大会の競技委員長として適任である…と判断されたのでしょう。

そういう意味で印象に残るのが、第6回麻雀最強戦。
「近代麻雀ゴールド」に掲載された“プロ否定宣言”の影響で、「近代麻雀」編集部と麻雀プロ業界の関係がかなりピリピリしていた頃です。
この時、編集部は有名プロを集めた最強戦大会を、“プロの存在は認めない”という建前から、「選抜大会」という呼称で開催するのですが、そんないきさつもあってか、大会開始前のルール説明の段階になって、参加プロの一部から最強戦ルールに対して不備の指摘があり、開始時間が遅れるという事件が発生します。

次々と意見を述べるプロ側。
それに対し、一歩も引かない競技委員長の堀江さん。

最後は灘麻太郎プロの「…(参加の)皆さん、プロでしょ? プロらしい振る舞いで各々応対すればいいじゃないですか」というひと言で、その場は収まったのですが…。
表面上はいつものように飄々と笑顔を浮かべながら大会を運営しつつ、プロ側と編集部側の板ばさみとなった堀江さんの心中はいかばかりだったか――。

* * * * * * * *

最強戦での堀江さんに関しては、他にこんなエピソードも。

当時の最強戦は、今のニコ生で放送されているような撮影スタジオではもちろんなく、雀荘を使って大会が開催されていました。
対局中、緊迫した闘牌を真剣に見つめる、多くの取材関係者やスタッフたち。

そんなピーンと張り詰めた空気の中、最強戦担当だったボクの肩を堀江さんがツンツンと叩きます。

堀江「秋くん、大会中にタバコを吸いながらの見学って禁止だよね?」
自分「もちろん、そうですね」
堀江「…注意しちゃってもいいかしら?」

といって、堀江さんが一直線に向かって行ったのが…「近代麻雀」屈指の大物・○○さん!
当然、この○○さんがどれだけ偉いのか、堀江さんも知らないはずがありません。
これがきっかけで、最強戦の競技委員長を解任される可能性だってあります。

しかし、まったく怯むそぶりも見せず、いつもように泰然自若に――。

「ごめんなさい○○さん、対局見学中の喫煙はご遠慮願いますか…?」

うわー、ロッキーさん、やめてーっ!www

その場では何も言わず、おとなしく吸殻へとタバコを落とした○○さんでしたが、衆目の中でメンツを潰される格好となっては気分を害さないはずもなく、そのまま○○さんは怒って退出するという事態に…。

時は90年代中盤、今のように分煙マナーなどがまだ浸透していなかった頃です。
○○さんは事前にうちの本部長から直々に喫煙の許可をもらっていた(もちろん堀江さんは知らない)らしく、怒るのも無理からぬことではありまして…。

最終的には、周囲の取りなしで事なきを得るのですが、不器用で融通の効かない部分もありつつ、権威に恐れず自分の信念を頑として曲げない堀江さんの姿勢に、背筋を凍らせつつも感心させられたわけで。

* * * * * * * *

上記のエピソードを見てもわかる通り、温厚な外見とはうらはらに堀江さんには気骨な一面もあり、自分のポリシーに反することや、信義にもとる行為をしたとみなした人間に対しては、一切関係を持とうとはしませんでした。
しかし、さらにまたその一方で、堀江さんは「自分の信義信条を他人には押しつけない」という人格者でもありました。

プロ麻雀界とはキッパリと袂をわかった堀江さんですが、「SPロッキー」に来店する方には、ファン・プロにかかわらず熱心にアドバイスするのが堀江さんの主義。
現在のプロ麻雀界にも堀江さんを慕う「教え子」が多くいらっしゃいます。それこそ、堀江さんが持っていた度量の広さの証明に他ならないのです。

では、それほどの、麻雀に対する想いのパワーはどこから来ていたのか?

昨年、堀江さんは、サッカーで倒れ込むキーパーを見た相手チームの選手が、決勝点のチャンスを放棄してプレーを止めた動画を、Facebook上でシェアしていました。
そこで堀江さんはこうコメントしています。

「勝つことは大事なことだけど、ゲームにはそれ以上に大切なことが有るんですね。自分もよく行動を考えなくてはいけませんね」

今にして思えば、このコメントにある気持ちこそ、麻雀に対する堀江さんの信念だったのではないでしょうか。

従来の「ギャンブル種目」としての観点ではなく、頭脳ゲームとしての奥深さ、優れたコミュニケーションツールの能力、そして、「牌品高」から学ぶフェアプレーの精神。
そんな愛すべき麻雀の素晴らしさを、感動を、より多くのファンに伝えること――その使命感こそが、鳳凰位という頂点まで上り詰めたプロ連盟を自ら退会し、ノーレートの麻雀店を始めた理由だったのではないかと思うのです。

* * * * * * * *

編集部から異動した後、堀江さんとはしばらくお会いしていませんでしたが、ひょんなことからFacebook上で「再会」しました。
最近では、お互いの地元であるさいたまのこと(大宮と浦和の違いはありますが)、やはり共通の趣味だったプロレス観戦のことなどを書き込んでいると、よく堀江さんから「いいね!」ボタンやコメントが返ってきていたり。
1月5日にも、武蔵浦和駅のテナントが改装されたことをつぶやいた内容に「いいね!」があったばかりで。

ある日、自分が編集部に配属された頃からまったく進歩のない、麻雀でボロ負けした恨み節をSNS上でつぶやくと、「たまにはお店に遊びに来てくださいね。麻雀、また教えますよ」という堀江さんのコメントが残っていたことがありました。
昨年の9月の堀江さんのお誕生日の際にも、自分が送ったお祝いメッセージのお返事に「なかなかお会いすることができませんが、また一緒にお仕事ができると楽しいですね」というひと言も――。

所要で大宮に出向く際、何度も「SPロッキー」へ行こうと思ったことがありました。
お伺いしようと思えば、いつでもできたのです。
しかし、10年近く実際にお会いしていない堀江さんを訪ねるのが、なんとも照れ恥ずかしくて――。

こんなことなら、せめて一度くらい、お店に行けばよかった。
あの明るくて、少しキーの高い、「おー、しばらくです!」という堀江さんのお声が聞きたかった――。

* * * * * * * *

SNS上で堀江さんのご逝去とその病状を知ってからというもの、現在同じ病気と闘う母親のこともあり、Twitterでいつものようなうわっついたツイートができません。
とてもじゃないですが、そんな能天気な話をする気持ちにもならず…。

でも…いつまでもこのままじゃいけませんよね。
普段のボクが元気に見えたからこそ、ロッキーさんは編集時代も最近も、ニコニコと話しかけてきてくれたんですもんね。

18日・19日にお葬式があります(詳細は上記のリンクで)。
そこで、久々に堀江さんとお会いして、気持ちに一区切りつけてこようかと思います。



ロッキーさん、20年前からこんなことばかり言ってますけど…負けてグダも巻きっぱなしですけど…麻雀、やっぱり面白いです。
今まで本当にありがとうございました。




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コメント

ロッキーさんとの思い出、大切にして下さいね。
2015/01/19(月) 22:11:33 | URL | さとちゃん  [編集]
ありがとうございます!
2015/01/21(水) 11:07:38 | URL | 編集・秋  [編集]

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プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの47歳。
   忠義もへったくそもない一人四十七士(意味不明)
職業:麻雀漫画誌「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス観戦
   ハロプロ・乃木坂46鑑賞
(おいおい、増えちゃったよ)
   ほかいろいろ
貯金:0万(なくなりました…)
ギャンブルの負け金:約1800万(順調に増えてます…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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