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かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

剣客商売スペシャル 道場破り

◆奥さんとの歳の差は26歳

剣客商売スペシャル 決闘・高田の馬場 [DVD]ポニョだかパフェだか知らないが、人間になりそこなった半魚人アニメの騒ぎのおかげで、本放送の放映を見逃してしまった私。

ネットでようやく探して視聴したのですが、まさかその直後に藤田まことさんが亡くなってしまうとは。

ここは藤田さん追悼で書きたいところなんですが…。


今回のスペシャル。
ゲストは中村梅雀さん。はい、これだけで、傑作確定w

秋山小兵衛と鷲巣見平助の会話のシーン。もう、この二人が語り合ってるだけで、泣けて泣けてしょうがないのです。
しかも、中村梅雀さんの殺陣は、殺気もあって鮮やか!
隠れた才能というか、歌舞伎役者なら当たり前なんでしょうか? いつもおとぼけおっさん演技しか見ていなかったので、かなり意外でした。


もうひとつ。BGMにクラシックが用いられているのが今シリーズの特徴なのですが(「SP」もそうでしたな)、アルビノーニ・ジャゾットの「アダージョト短調」が流れた時点で、はい神作認定www

この曲、向田邦子さんのドラマで有名な曲なのですが、その物悲しい曲の調べは、サザエさんの食事シーンですら最後の晩餐に見えてしまうほどの破壊力なのです。



家族を捨て、剣の技を磨くことに没頭していた過去を告白する、剣客の業ともいうべき胸を締め付けられるシーンにこの曲が乗せされたら…そりゃ号泣するわw


と、ほめるところはほめておいてw

それだけに、シナリオが残念でしょうがないんですよ。
ひと言で言うと「逃げてる」と。

* * * * * * * * * *

例えば必殺シリーズ。
悪役にも、思わず同情してしまうような、「できれば助けてやりたい」ような悪人が登場することがあります。
家族の不幸を避けるため、第三者にそそのかされて、出来心で…、善人だった故に悪に手を染めるしかなかった弱き者たち。
そういう人間にも、仕事人たちは容赦なく正義の仕置を下すのか?ドキドキ。

…って、やきもきさせたくせに、結局別の極悪人が登場して、心弱き悪人をあぼーん。
極悪人を仕事人が仕置。勧善懲悪。


例えば鬼平犯科帳。
「犯さず殺さず貧しき者から奪わず」の掟を守る盗人の弟子が、急ぎ働きの非道盗賊に。
その非道盗賊を成敗した正統派盗人に、鬼平はどんな裁きを下すのか? ワクワク。

…って、やきもきさせたくせに、結局非道盗賊の仲間が登場して、正統派盗人をあぼーん。
非道盗賊の仲間を火盗改めが成敗。勧善懲悪。

* * * * * * * * * *

罪と罰。「善良なる悪人」を前に、主人公側はどう向き合うのか。
そんな重いテーマでシナリオを構築してるにもかかわらず、視聴者にカタルシスを与えるという名目で、わかりやすい「極悪な悪人」をスケープゴートにして強引にチョンチョン。肝心なテーマの解答は放りっぱなし。

相撲で、曙級の強烈ぶちかましが来るな!…と思ったら、体重は稲川淳二級だったという肩透かし。
そんなお話を見ると、土俵の中心で「未熟者がぁぁぁッ!」と叫びたい(@播磨灘)くらい、ガッカリしちゃうわけですよ。

(まあ、必殺も鬼平も、ちゃんとその重厚なテーマをきっちり消化した良作もあるので、名シリーズとうたわれているワケですが。
余談になるけど、ジャニドラマと化した「必殺仕事人2009」でも、「善良なる悪人」を前にして冷徹に始末するという、夢見は悪いもののwハードボイルド性を重視したストーリーが何本かありました。メインキャストの演技や演出さえしっかりしていれば、名作になっていた…かも)


残念ながら、今作の「剣客商売」もその類でした。

もはやドラゴンボールの悟空のごとく「強い剣客と闘いたい」という一念の鷲巣見平助に対し、平助を救ってやりたいと思いながらも、剣客の習いに従い、対決を受諾する秋山小兵衛。
しかし、その前夜。平助に道場破りされた大場道場の門弟たちに襲撃されて、殺されてしまうという肩透かし…。

娘のために行った道場破りが仇となり、秋山小兵衛との対決が果たせなかったというシークエンスは、母娘が自分たちを捨てた平助の願いを阻止したという皮肉な寓話とも読み取れるのですが、ここで重要なのは「剣客商売」という作品の本質。


『戦国乱世は遠い昔のことながら、武士の魂やはり剣。あえて戦(いくさ)がなければこそ、腕におぼえの剣客どもは、売り込み合戦に明け暮れる。いやまさしく、昨今剣術は商売なり』


これは、TV版初期のOPナレーションですが、「剣客商売」のテーマは、まさにこの「剣客」という存在そのものなわけで。

ならば、今作はやはり、最強の剣客と刃を交わすことを願った平助に対し、正々堂々小兵衛がその勝負を受け、平助を斬り伏せねばならなかったのではないかと。
平助が大場道場の門弟に殺されて、その仇を秋山親子が取るという展開は、物語としては必然でも、「剣客」の生き様を見せるには不十分だったのではないかと思うのです。


で、一つ同情すべき点として、もしかしたらシナリオではきっちり対決シーンがあったのに、藤田さんの健康面の部分から、シナリオが変更された可能性があるんですな。


さあ、ようやくつながった。
結局、何が言いたかったかというと、この「剣客商売」を見る視聴者としての立ち位置で考えた場合、この時点で藤田版秋山小兵衛は、物語の進行において支障をきたしていたんではないか…と思わずにはいられなかったのです。


藤田さんも病気だし、この中村梅雀さんを後継に…と書こうと思ったら、藤田さんが亡くなっちゃったという…。


…とりあえず、藤田さんに対するボクの気持ちはまた稿を譲るとして。


もともと、秋山小兵衛のモデルは、歌舞伎役者の中村又五郎さんと言われています。
今回の出演もひとつの縁、ここはひとつ、同じ歌舞伎役者である中村梅雀さんに後を譲り、良質な時代劇ドラマであるこの「剣客商売」を続けていってもらいたいな…と夢想せずにはいられないのであります。 


しかし、この中村梅雀さん、ベーシストとしても有名で、グループ魂の「東京メドレー」の題材にもなったとか。
う~む、人は見かけによらぬもの…(すんません)。



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プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの53歳。
   ゴミのような人生。
   五味龍太郎のような人生
   ではない。
職業:「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス・F1観戦、お城の
   旅行、坂道グループ鑑賞
   ほかいろいろ
貯金:マイナス100万
   (助けて…)
ギャンブルの負け金:約1800万(減らんなぁ…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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