●ジミ・ヘンにクラッシックは奏でられるのか? |
進化した激闘! KETNA vs.丸藤、Wタイトル戦は60分ドロー=ノア[ スポーツナビ ]
古くは猪木vsドリー、馬場vsサンマルチノから、鶴田vs長州、猪木vs藤波まで、「60分フルタイムドロー」という試合は、古式ゆかしき昭和プロレス時代の伝統芸能といっていいでしょう。
だがしかし。ぶっちゃけ、それらが名勝負として足りえたのは、当時「両者リングアウト」という消化不良試合が量産されていた時代だったからなわけで。
もう平成も20年過ぎ、現代はPRIDEこのかた「カミングアウトプロレス」時代。
「60分フルタイムドロー」に、あまり価値を見出せない自分がここにいる。
小島vs天山(厳密に言えばフルタイムじゃないけど)、諏訪魔vsケア、バルクvs鷹木など、最近になって「復刻」されてきた感もあるけど、明らかに試合をしている選手が、フルタイム持たせるためにゆったりとした間で闘っていて、スタミナをセーブしてるのがみえみえの試合もあり、8ビートを超えて16ビートを刻む現代のロックプロレスとは明らかに逆行してる。
いわば、 「60分フルタイムドロー」ってのは、クラッシック曲みたいなもんだよな、と。
丸藤にしろ、KENTAにしろ、すごい身体能力の持ち主であって、今回も見たこともないような驚愕のウルトラ技を見せ付けてくれた。
スタミナ温存が災いするグダグダ試合とは違って、全力でやり遂げた二人の、新時代プロレススタイルだったのは間違いなく事実なんですが。
でも、そんな「超絶ギターテク」ってみたいなやつは、やはりクラッシック曲ではなく、短時間でパッと激しく燃焼するロックでこそ光るもんじゃないかと思うけど、どうだろう。
60分というロングランの中、超絶技→バテる→超絶技→バテる…のエンドレスは、どうしたって中だるみしてしまうものだから。
その意味で、週プロで京平レフェリーが「本当はスモールパッケージとか、バックスライドが…」というコメントは面白い。
「足し算」だ「引き算」だとか変なアスリートチックの世迷い言じゃなく、「3カウント入っちゃうんじゃないの!?」というスリルが少なかったのが、名勝負としてのエッセンスに欠けていたのかも。
(一番の「スリル」が「場外10カウントルール」っていうのも、皮肉っていうか)
今のプロレスで「60分フルタイム」なんていう難易度の高い名曲を演奏できるのは、武藤や鈴木みのるあたりしかいないでしょう。
っていうか、そのあたりに任しときゃいい。
丸藤やKENTAに今求められているのは、「60分の激闘」よりも「30分の超激闘」だと思います。