チャンピオンカーニバルの続き。
結局、5日間とも「ああ、観たいなあ」と思わせた試合カードは、諏訪魔と棚橋の二人の試合でした。
両者決勝に残ったのもありますが、やはり今年のチャンピオンカーニバルの軸は必然的にこの二人だったと。
昨年のテーマが、鈴木みのるとTAJIRIの「プロレスイデオロギー闘争」で、今年は諏訪魔と棚橋中心の「未来のスター試練のリーグ戦」。
5日間後楽園ホール開催はどちらかというと否定的なんですが、こうやってストーリー性を感じられたのは良かったと思います(せめてGAORAの中継がもっとニアタイムでできればいいのに…)。
で、諏訪魔と棚橋が軸として進行したんだけど、両者のスタンスは対称的。
かたや棚橋は、すでに完成された「ナチュラルヒール」として、公式戦すべてで会場をヒートアップさせることに成功。
そのをイヤミな伊達男キャラとしての個性を遺憾なく発揮し、試合では「棚橋色」が消えることはまったくありませんでした。
ホント、ここまでブレイクするとはw
対して諏訪魔は、はっきりいって欠点まるだし。
真の「諏訪魔スタイル」が確立されていないんで、どのレスラーとやっても、そのレスラーのスタイルに動きを合わせちゃうんです。
タフでゴツゴツした流れを要求された健介戦、ゆったりしたクラシカルなペースにハマった西村戦、パワーファイト一辺倒の粗い展開だったドーリング戦…。
って、こう書くとなんか「ダメじゃん」って思っちゃうんですが、じゃあそれぞれ悪い試合だったかっていうと、そうでもないんです。むしろ、息を呑む熱戦ばかりだったと。
つまり、逆に考えると、「スタイルが確立していないのに、どんなレスラーともいい試合が出来る」という器用さが諏訪魔にはあるんですよね。
でも、そんな器用さだけじゃ、個性豊かなプロレス界の面々とは渡っていけません。
で、今後の諏訪魔の可能性を感じさせたのが、3日目のvs鈴木みのる戦だったと。
この試合、キョーレツな「半ガチ」マッチだったんです。
みのるはともかく、諏訪魔もまったく技を受けない!
取っ組み合っているうちに、なんと諏訪魔がマウントを取り、みのるを殴る殴る!
途中、みのるに放ったカウンターのラリアットの破壊力!
この試合を観てわかりました。
ああ、諏訪魔はまだ自分の本当のポテンシャルが見せられていない、と。
「スタイルが未確立」「器用」「秘められたポテンシャル」…このキーワードをみて、カンのいいマニアならおわかりでしょう。
そう、まさにジャンボ鶴田が若い頃に直面していた悩みだったんです。
うーん、誰がつけたか「ネクストジャンボ」。
本人が否定しようとも、必ずついてまわるニックネームなんですねぇ。
で、みのるが意図していたかどうかはともかく、破天荒に相手を殴る蹴る、そしてぶん投げるという、わがままなスタイル=「諏訪魔スタイル」を引き出してみせたんではないかと。
結局、チャンカンは完成された棚橋よりも未だ未完成な諏訪魔が優勝しましたが、会場でボクはこの器用なのに不器用な、ホントに怒らせたらどうなるかわからない、そんな底なし沼のような諏訪魔の魅力に、ワクワクしちゃったんです。
あとは棚橋×中邑・後藤のような、同期で諏訪魔を「怒らせる」ような好敵手がいればなぁ。
三冠戦。
実は、諏訪魔を応援する気にはなりません。
まだ諏訪魔は弾けてない。
みのる戦や棚橋戦のような試合が常にできるようになって、「諏訪魔スタイル」が確立したときに、改めて応援したいなぁ、と。
…なんか、珍しくプロレスでここまでいろいろ考えちゃいました。
長文、失礼しました。