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かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

自分が初めて漫画に出たとき

もう一か月以上前のことになりますが…。
「近代麻雀ゴールド」で「牌の音ストーリーズ」などを描かれていたみやわき心太郎先生が、10月9日に亡くなられました。

先生にはいろいろと思い出がありまして…四十九日を前に、哀悼の意を込めて、こんなお話を…。

* * * * * * * * * *

大学の漫画同好会に所属していた僕が、「コミック誌の編集者になりたい!」と思ったのは大学3年になってからのこと。
漫画家になれる画力も根気もないことが骨の髄までわかった、お気楽極楽な大学時代。
自分が好きなマンガの世界に関わるとしたら、編集者になるしかないと思ったのです。

当時は就職バブルの全盛の頃でしたが、それでも出版・マスコミ業界に就職するのが難しいのは今と同じ。
周囲が内定の数をいくつ取ったか自慢しあう中、『マスコミ就職読本』と『マスコミ入社試験問題集』を穴が開くほどじっくり見つめながら、コミックを出版する会社を中心にマスコミを駆けずり回っていたわけで。

「不採用」「遺憾ながら…」の嵐に身も心もズタズタになりながらも、就職留年も含めた2年間のシューカツの末、竹書房にようやくひっかかったのが、94年の2月のことでした。
ただし、ひっかかったといっても、それは正社員じゃなく、近代麻雀編集部でのバイトとして…だったのですが。


当然、入社当初は作品の担当などできるわけもなく、作家さんの原稿取りや写植貼りなど、雑務のお仕事がほとんど。(あと麻雀w)
好きな作家先生の生原稿を見ることができたり、自分がかかわることでコミック誌が毎月刊行されていくという現実が楽しくて、それなりに充実していましたが、この後、バイトから社員になれる保証などどこにもない。
5月で25歳となる自分の未来予想図も描けずに、人生のブレーキランプが5回点滅、「ア・キ・ラ・メ・ロ」のサインが脳裏を駆け巡っていたあの頃…。

そんなドリーム・ドント・カム・トゥルーな日々を送る中、よくお願いされた仕事が、「何を切る!?」を連載していたみやわき先生の原稿取りでした。

* * * * * * * * * *

みやわき先生というのは、かなり遅筆な方。
たった4Pの漫画なのですが、お仕事場のあるひばりが丘の自宅に向かっても、完成していたことはほとんどありませんw(芸能人への取材モノなので、時間的な制約があったのも事実なんですが)

必然的に、みやわき先生の自宅で待たされることが多くなるのですが。

「…?」

ふと見ると、当時あまり個人宅にはなかった全自動卓の前で、容姿端麗で有名だった、みやわき先生の奥様がチョコンと座っています。

みや奥様「秋さん みやわき家にお越し頂いた方は、半荘1回は打って帰るのが鉄則なんですよ♪」

…ほえ?
い、いや、しかし…原稿がまだ…。
 
するとみやわき先生。メガネを少し下にズラして、ニヤッと笑いながら…。

みやわき「ホッホッホ、もうすぐ原稿もアガるから、打っていけばええやないかぁ」

は、はい…


ということで、上司がまだかまだかと原稿を待ち続ける中、自分は娘さんや奥さまと一緒に、必ず半荘1回以上麻雀を打っていたというw

今、思えば、奥様や先生が麻雀したいから、わざと原稿を遅らせていたんじゃないかなぁ。(もう時効ですよね)

* * * * * * * * * *

また、みやわき先生は非常に好奇心旺盛な方で、学生から社会人になったばかりで、元学漫だった僕のお話を熱心に質問してきました。

大学の頃のお話から始まって、なぜ、麻雀を好きになったのか。なぜ、漫画が好きなのか。なぜ、漫画編集者を志しているのか。

あるとき。原稿取りへ来る途中に購入していたジャンプを見て…、

みやわき「おー、ジャンプ読んでるんや」
僕「ええ、まあほら、勉強ですから(ウソ、単なるおたくw)」
みやわき「ボクもジャンプに描いとったんやで」
僕「え、ホントですか?どんな作品を…」
みやわき「『革命児ゲバラ』いうてな…」

ゲバラ!あのキューバの英雄の!?
みやわき先生がジャンプで描いてたのも驚きですが(失礼…)、まさかジャンプでそんな重厚なドキュメント作品が連載されていようとは…。 

その後も、担当があの「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 」で有名な西村繁男さんだったとか、集英社近くの宿でカンヅメになった話など、まんがオタクとしても興味深いエピソードがてんこ盛り。
 
興味深く聞いていると、そのうち、ボクがジャンプを入れていた紙袋に、みやわき先生がさらさらと何かを描いていく。


みやわき「ほれ」


…!?

みやわき先生が描いたボクのイラスト! 

ボクの似顔絵じゃないですか!?

みやわき「いやぁ、秋君はさぁ、似顔絵描きやすいんよぉ。だから、つい描きたくなってなぁ。ホッホッ」

描きたくなりましたかw
でもその言葉がありがたくて、イラストは上のように切り抜いて、大事に保存してあります。
(みやわき先生への哀悼の意を込めて、Twitterのアイコンにもしてました)

* * * * * * * * * *

とまあ、そんな日常を繰り返していた頃。

あるとき、みやわき先生が、友人だったちばあきお先生の亡くなられたお話を執筆されました。
(確か、「まんだらけ」さんの雑誌)

その作品のラストは、大きなひとコマに、みやわき先生にかかわっている編集者が全員並んでいて――確か、「ちばくん、自分は今、これだけの人間に見守られてマンガを描いてるから幸せなんだよ」というようなニュアンスのシーンだったと思います。




その、関係者が2,30人並ぶイラストの中に。




…ボクがいたんです。





もちろん、当時ボクはみやわき先生の担当などさせてもらっていません。
じゃあこれが、先ほどのエピソードを踏まえてのみやわき先生からのエールだったのかというと、そんなわけでもなく。
単に関係者ということで描いて頂いただけだったと思います。(実際、当時一緒にバイトしていたFくんも描かれていた)


それでも、ボクは…涙が出るほど嬉しかった。
半人前どころか、10分の1人前にも満たないような自分が、いっぱしの編集者として扱ってもらった気がした。


だから、そのイラストをみて、自分は頑張ろうと思った。
絶対社員になって、マンガの現場で一生働いていこうと思った。


…まさか社員になった後、大学時代のペンネームが作品で使われたり、自分がマンガの主人公になったりするだなんて、夢にも思わなかったけどw
その上…力及ばず、マンガの現場からは「一歩」遠のいてしまったわけだけど。

でもあの頃の、「マンガ」という素晴らしきエンターテイメントへの「想い」――それだけは捨てたくない。
ずっとずっと、胸に遺して。

* * * * * * * * * *

みやわき先生とは、現部署に異動してからはお会いしていませんでした。
こんな独りよがりなエピソードしかなくて、ホントはみやわきさんの思い出を書く資格なんかまったくない自分ですが…。

みやわきさん、本当にお疲れ様でした。
自宅の仕事場の2階で、埋もれた資料の山の中を窮屈そうにしながら、自作の点描マシーンを使い、全身全霊を込めてマンガを執筆していたみやわきさんの姿、一生忘れません。


ご冥福をお祈りします。


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怠けてます…



最近ブログを全く更新せずにホントにすみません。
ここまで更新しなかったのは、最長記録かもしれないなぁ…。

kamiproのジャン斉藤さんとのUST放送の総括もできていませんが、 さすがに遅すぎるので、詳細は書きません…しかし、自分の回しはホントにヘタだなぁ、とw

今回はすべて録画は残してあるので、そちらで改めてご覧ください。

http://www.ustream.tv/user/daiginga

その後、ツイッターでも書きましたが、日本では「プロ」という解釈にもいろいろあって、業界の中での慣例もあります。
食える食えないの論議と、プロの資格の是非は、ある意味切り離さないといけないんじゃないかと思いました。
結局、プロが食えるようになるには、業界の中にいる人たちが、そのシステムをどうやって構築するかに掛かっていると。

格闘技業界は、ブームが去りゆく中で、必死にもがいております。
その点、麻雀業界は動画やゲームを中心に比較的上昇機運にあるわけですから、職業として麻雀に従事することで生活ができる人が一人でも増えるように、中の人はみんなで頑張りましょうよ…という総論でどーだい?w


書きたいことはたくさんあるんですが、ツイッターにかまけすぎちゃって、ホントにダメですな。
ぼちぼちリハビリしつつ、ブログも書いていきます。…って、いったい何回書いたことかw

はい、ゴメンナサイ。なんとかします。うう。

プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの53歳。
   ゴミのような人生。
   五味龍太郎のような人生
   ではない。
職業:「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス・F1観戦、お城の
   旅行、坂道グループ鑑賞
   ほかいろいろ
貯金:マイナス100万
   (助けて…)
ギャンブルの負け金:約1800万(減らんなぁ…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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