20日のお昼ごろ、飯田橋駅でスイカカードを返却しようと並んでいたら、サイバラさんのアシスタント・愛ちゃんからいきなり電話が。
「今、サイバラ先生って、『近代麻雀』で仕事されてますよね」
やってますよぉぉぉ。愛ちゃん、自分で「鳥頭の城」HP更新してるじゃない。
…って、確かに今はイラストだけですけどね(泣)。
でも、なんでそんなこと改まって聞くの?
「実は、鴨志田さんが今朝亡くなられて…」
私、「えっ…」と言ったまま、絶句。
何がよ? どうしてよ?
涙はこらえたものの、顔がクシャクシャになってしまい、気がついたら並んでる人たちがジロジロ。そりゃそうだよな。
慌てて飯田橋駅を出て、編集部に電話しました。
* * * * * * * *
ファンの方はご存知でしょうが、西原理恵子先生の元・旦那様、鴨志田穣さんが、20日朝に腎臓ガンで亡くなられました。
鴨志田さんとは、当時東長崎にあったサイバラさん宅で、サイバラさんの原稿を待っている間、たまに世間話などしていました。
一緒に飲みに行ったりしてたワケじゃないので、「友人関係」とまでは言えないでしょうけど。
思い出すのは、ある日の「たぬきの皮算用」原稿取り。
サイバラさんの自宅に赴くのは、どうしても深夜。
当時、雁ちゃんも生まれたばかりだったので、呼び鈴を鳴らさず、サイバラさんの携帯に直接電話しました。
聞こえないように「おじゃまします…」とささやき(矛盾しとるなぁ)、忍び足で直接仕事部屋へ。
そのまま、椅子に座って、サイバラさんの原稿がアップするのを待っていました。
すると、いきなり酔った鴨ちゃんがご乱入。
「おい、何いきなり家に入ってきてるんだよ! あいさつぐらいすんのがジョーシキだろーが!?」
うひー。
「サイバラさんには了承の上、おじゃまさせて頂いたんですが…」
…なんて言い訳もできない剣幕に、ボクは校長先生に怒られた小学生のように直立不動で機能停止。
サイバラさんが、とりなしてくれましたが、それでも、
「ホント(のこと)だよ、気をつけな」
と言って、ノシノシと部屋に戻って行きました。
西「ごめんねぇ、今酔っ払ってるから…」
サイバラさんにはそうやって慰められましたが、考えてみれば、夜中の2、3時に自分の奥さんが、担当とはいえ他人の男と自宅の部屋で二人っきりというシチュエーションは、確かに面白くないはず。
だから、別にサイバラさんが気にするほど傷ついてはいなくて…。
ウソ。当時はちょっぴり傷ついてたかもw
でも、「仕方がない」と逆に反省し、それ以降、夜中でも在宅時は鴨ちゃんがいるリビングにも顔を出して、ご挨拶するようになりました。
さすがに、もうサイバラさんは覚えてないよなぁ。
* * * * * * * *
昨日はお通夜でした。
通常のお通夜では、親族は親族席に座り、お焼香する人に会釈する程度だと思います。
でも、他人に人一倍気を遣うサイバラさんは、参列者のお焼香の番になると立ち上がり、帰る参列者一人一人へ挨拶をしていきました。
西「ありがとね、来てくれて…」
お焼香の後、サイバラさんは絞り出すような声でボクに挨拶してくれました。
頬には、涙がとめどなく流れてる。
サイバラさんが鴨志田さんと出会ってから、このお葬式に至るまで、いったいどれだけの涙を流したのだろう。
ひょっとしたら、幸せよりも苦しみの方が多かったかもしれない。
それでも、きっとサイバラさんと鴨志田さんは、お互いを全力で愛してきたんだと思う。
無念の気持ちでいっぱいのサイバラさんの胸中を思うと、情けないことに、ボクの方からかけられる言葉が見つからない。
こんなとき、なんてお声をかければいいんだろう。
西「もう…今は、いい人だから…」
…え?
西「いつもはお酒を飲んでて、悪い人だったけど、もうお酒も抜けて、いい人になってるから…」
………。
………。
サイバラさんは、ボクが鴨ちゃんに怒られたことをちゃんと覚えていました。
ボクは全然気にしてなかったのに。
サイバラさん。鴨ちゃんをかばって、自分をそんなに責めないで。
だいたい、ボクが知ってる鴨ちゃんに、「悪い人」なんて部分、ひとつもなかったんですから…。
ああ、もう。
また顔がクシャクシャになってる。
* * * * * * * *
生前の鴨ちゃんに、こんなことを言われてました。
「秋君さぁ、彼女できたら絶対連れてくるんだよ! どんなコか見てやりたいからさぁ!!」
…実は本気で、彼女ができたら、サイバラさんのところに連れて行く気でいました。
きっと、鴨ちゃんもそんなこと言ったかどうかも忘れてるだろうから、絶対に驚かせてやろうと。
まあ、大方の予想通り、それから彼女が一人もできていないんだけど(涙)。
でも、本当に彼女ができたら、サイバラさんのところに行って、鴨志田さんのお仏前で紹介しようと思っています。
…迷惑かなぁ。wwwwww
鴨志田穣さんのご冥福をお祈りします。
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