前回の話がいろんな漫画系ニュースサイトやブログで紹介された影響で、ずいぶん多くの方のアクセスがありました(ありがとうございます!)。
ただ、誤解を受けた箇所もあったようなので、ちょっと補足させていただきます。
こんな意見があったんですな。
「萌えマンガがなかったって言うけど、当時『トリツキくん』みたいな麻雀マンガが掲載されていたじゃん、このウソツキめ」
…と。 Σ(゚Д゚;)
「トリツキくん」とは、89年ごろに「近代麻雀」に連載されていた作品で、なんと、作者はあの「3×3EYES」を描いた高田裕三先生!
内容は幽霊+ラブコメ+麻雀です…って書いただけじゃなにがなんだかw
傑作なのでぜひ購入してみることをおすすめします。
絵柄的に「トリツキくん」を“萌えマンガ”と分類するにはちょっと乱暴かと思い、特に触れなかったのですが…。
実は、「近代麻雀」でも、萌えマンガというか、「マンガおたく好み」(といっていいのかなぁ)の作品が多く掲載されていた時期(80年代終盤~90年初頭あたり)があったんです。
「トリツキくん」のほか、「勝手にジャンキィロード」「デスパイ」「怪傑イーピン・ゴッド」などなど。
ボクのようなアラフォーおたく世代の人には懐かしい作品じゃないでしょうかw
(確か「イーピン・ゴッド」は『桃色サバス』に収録されていたはず…)
だがしかし。
当時のこの実験的な試みは、「近代麻雀」(当時は「別冊近代麻雀」)の部数低迷という事態を招き、ほどなく編集部方針は「正統派路線」へと回帰していきます。
その軌道修正の中で誌面に登場したのが、「アカギ」だったりするんですよね。
結局、ボクがバイトで入った94年頃、いわゆる「おたく向けマンガ」というものに対して編集部が冷淡だったのは、そういった反動の部分もあったわけです。
さてさて。
その後、「近代麻雀」3誌で「萌え」要素のかかった作品がまったくなかったわけではありません。
(正直、「萌え」の定義すらボク自身あいまいだったりするんだけどw)
前回挙げた「まきの麻雀クラブ」しかり、リニューアル前の近オリに掲載されていた一連の作品しかり。
しかし、「咲-Saki-」ほど「萌え」要素が大量投下されていて、それ系ファンのハートをギュッと鷲巣様にした…もとい、鷲づかみにした麻雀マンガというものを、ボクはそれまで一度も見たことがありませんでした。
あんなハイクオリティな麻雀マンガが他誌で生み出されているにもかかわらず、「近代麻雀」は何をしているのか?と。
その状況を憂いての、
>「咲-Saki-」のような作品で誌面が埋め尽くされてしまうのはどうかと思いますが、
>今なら1~2本くらいこんな萌え系ストーリーマンガが「近代麻雀」にだって欲しいよなぁ…と、
>現場から離れてしまった元オタク&元近代麻雀編集はつぶやいてしまうんであります。
というボヤキだったんでありまして。
ただ、確かに前回のレビューは、ちょっと誤解を受けるような書き方だったかもしれませんね。
誠にすいまメーン。 (ジョイマン調)。
ちなみに。
「おたく向けマンガ」への編集部の取り組みがまったく無駄に終わったかというと、そういうわけでもなく。
「近代麻雀」誌上では失敗だったものの、おたくサブカルチャーの流れをヒシヒシと感じていた編集スタッフは、その苦い経験を生かしつつ、ついに「近代麻雀」という枠を飛び越えて、新コミック誌の創刊へと動き出します。
それが、「碧奇魂ブルーシード」 「影技 -SHADOW SKILL-」などの傑作を生んだSFファンタジー系マガジンの草分け『コミックガンマ』の発刊へとつながっていくんですね。
…なんか、「竹書房のおたく向けマンガの歴史」みたいになっちゃったなぁ。
どっとはらい。
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見ちゃいましたよ♪ ライバル他社のアニメwwwww
ぶっちゃけ、TVシリーズのアニメ視聴は、後学のためにと思って見ていた「ガンダム00・1stシーズン」以来でしょうか。
しかも、ムリヤリ最終回までみたものの、まっったくワケがわからず、憤怒しっぱなしだったというw
ただ、ホメようがケナそうが、同業・同ジャンル・他社作品をレビューするのは、やはりなにかとカドがたつというもの。
ここは私の昔話でお茶を濁そうかと思います。
今さらなんですが、私はもともと重度なマンガオタクでありました。
系列としては…萌え系とまでは言わんまでも、竹書房で働き始めるまで「ファンロード」という雑誌に投稿しまくっていて、コミケでも本を出していた…といえば、わかる人にはわかるでしょうかwwwww
そんな奴ですから、近代麻雀編集部でバイトを始めてしばらくして、「そろそろ好きな作家をリストアップしてもいいよ」と上司に言われ、まあ困ったこと困ったことw
ただ、95年ごろに私が配属された「近代麻雀オリジナル」の編集方針は、片山まさゆきさんの「ノーマーク爆牌党」をはじめ、柳澤一明さんの「ナルミ」、森真理さんの「でんでんユミコ」、忘れちゃいけない「兎-野性の闘牌-」など、劇画作家以外のチョイスに関しても寛容でした。
なので、私も若輩者ながらもいろいろ誌面のバランスを考えて、ちょいちょい自分好みの絵柄の作家さんに当たるようになっていきました。
そんなある日のこと。
ひょんなことから念願かなって、オタク系では高名で、単行本もかなり売れている某作家さんと連絡がつき、読切りを掲載することができました。
確かに絵柄は従来の近代麻雀系としては異質でしたが、内容も麻雀好きならクスッと笑うような、読者にも十分楽しめる内容だったと思うんです。
が。
近オリではない、別の編集部の上司と会話をしていた際。
上司「あの○○さんって、誰が連れてきたの?」
私「あ、ボクですけど」
上司「ギャハハハ! おまえさぁ、あんな絵柄の作家さん持ってきて、何してんの!? 全然「近代麻雀」とカラー違うじゃん!」
…正直、ショックでした。
確かに「近代麻雀」としてはメインを張るには、難しい絵柄の作家さん。
でも、もともとショート読み切りでしたし、そんなに笑われるようなことか?と心の中で反発していた覚えがあります。
ま、それだけ「近代麻雀」という世界では、「萌え」というジャンルについて拒否反応があったということです。
当時(90年代中頃)の「近代麻雀」3誌の編集部は、作家さんをセレクトする際に、一定の「劇画」ラインは守ろうという空気が確かにありましたし、読者層を考えればそれも仕方がなかったと思います。
そういう意味で、麻雀マンガというジャンルでこういった萌えマンガがヒットするというのは、現場にいた人間としてホントに感慨深かったりするんでありまして。
ちなみに、こういった「咲-Saki-」のような設定のマンガが、2000年あたりに近オリで連載されていたのを覚えている人はいますでしょうか?
タイトル名は「まきの麻雀クラブ」。作者は現在「雀愉」を連載している有元美保さんでした。
女子高で麻雀好きの主人公が「麻雀部」を設立して、メンバーをつのっていくという、今にして思えば「涼宮ハルヒの憂鬱」の序盤にも似たストーリーw
結局、連載は短期間で惜しまれつつも終了してしまったのですが、今思えばかなり画期的な作品だったような気がします。
とにかく。
「咲-Saki-」のような作品で誌面が埋め尽くされてしまうのはどうかと思いますが、今なら1~2本くらいこんな萌え系ストーリーマンガが「近代麻雀」にだって欲しいよなぁ…と、現場から離れてしまった元オタク&元近代麻雀編集はつぶやいてしまうんであります。