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かっぱがれ編集・秋のへっぽこギャンブル日記

基本はギャンブル日記だけど、まあ趣くままにてきとーに。

必殺仕事人(2023)

●サングラスとキャップーー時代劇に新時代到来(怒)


正月に録画していた「必殺仕事人2023」をようやく視聴。今さらTwitterで垂れ流すのもなんなんで、ここにサラッと。

Twitterでもたまにつぶやきますが、実は自分、ちょっとウザいくらいの必殺ヲタ。しかも若い人には何言ってるかわからないと思いますが、仕事人シリーズ以前の“旧必殺”と呼ばれてる作品群のマニア。なので新作についてはいつもかなり辛口の評価だったりします。

ただ最近、テレワークしながら夕方に後期必殺の再放送を見ていたりするからか、ここ数年のジャニ必殺に関しては非常に優しい目で観ているつもり。

その上で言うと、今作も大きく言えば、ストーリーの建て付け自体は決して悪くはないと思うわけですよ(善人の闇堕ちする話が若干パターン化してるところはあるけど)。

ただ、その途中の演出というか、つなぎ方がいかにも惜しい。今作で言えば、橋本じゅん演じる酒井東庵先生が闇堕ちするシーンとか、もっと丁寧に演出すればインパクトが大きいと思うんですよ。だけどその辺の心理描写が雑なので、ラストでこの東庵先生への感情移入が希薄になってしまうわけで。

個人的には橋本じゅん以外でも、西村まさ彦、相島一之、正名僕蔵といった悪役俳優陣は、全盛期必殺のキャストともタメを張るくらい、アクの強い名優だと思うんですよね。それがたいした演出もないので、ほとんどクセのない形の悪役として始末されてしまう。キャビアやフォアグラを濃いめの味噌汁にぶち込んで味もわからぬまま食べてしまってるような勿体なさw

その最たる例が、今回殉職したエンケンなんですよね。レギュラー入りすると聞いた時にはかなり期待していたんですが、なんとも掴みどころのないキャラのまま終わってしまったという…(以前の源太もそうだけど、つっ立ったまま大往生とかめちゃくちゃカッコ悪いと思うんだけど、誰も突っ込む人はいなかったの?w)。虚楽主義の遊び人という設定がTOKIO松岡の経師屋と被ってしまった時点で先は見えてしまってはいたんですが、この退場に及び、つくづく残念だなぁ…と。

ジャニ必殺、自分も含めて旧作系のファンにはかなり嫌われているんですが、脚本は寺田敏雄から西田征史(「とと姉ちゃん」の脚本やってたのね)になってずいぶん洗練されてきた気がするんですよね。冒頭のサングラスとキャップ姿で出てきたDJ KOOとか個人的には全然許せるんですよ。なんたって我々はKISSのメイクして仕置きしちゃった念仏の鉄を見てきてるんですからw

ただ「ダメ」と批判するんじゃなくて、キャラ造形や演出の部分を的確に修正できる人が現場にいれば、もっと面白くなるんじゃなかろうか…と思った次第。

ただそれでも、相変わらず渡辺小五郎のキャラ作りは大っ嫌いだけど。「仕事だってこと忘れるんじゃねえぞ」とか、つくづく余計なひと言。「情に溺れない」という設定をあそこでやって、物語がどうやって盛り上がるのよ。視聴者には「悪人をやっつけたい」って気持ちを盛り上げないといけないのに、あそこであのセリフはいかにも興冷め。

個人的にはエンケンよりもヒガシに粛々とご退場いただいて、城島君とかイノッチみたいな善人キャラの人に中村主水的な立ち位置で登場してもらいたいんだけど、まあ絶対無理だろうなぁ…。






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必殺仕事人(2018)

●勧善懲悪「仕事人」 中村主水は夢ん中


ずいぶん昔、このブログとは別に「かっぱがれ編集・秋の森羅万象ポンコツレビュー」という、ドラマやCDなどの作品に関しての感想を書くブログをやっていました。

Twitterで作品感想をざっくばらんに書くようになったので、そのブログは閉鎖(過去記事はこのブログ中にまとめてあります)したわけですが…。

が、しかし。
昨日放送された「必殺仕事人(2018)」が、「必殺」ファンの私から見てあまりにもクソ酷く、シリーズ史上最悪の出来どころか、過去の「必殺」シリーズの足を引っ張る超絶問題作で、Twitterの140字では書き尽くせないほどツッコミどころが満載だった
ため、誰も興味がないとわかっちゃいるんですが、今まさに華麗に復活と相成りました。

工藤栄一監督ーっ、天国から自分のこの想いを読んでやってくださーい!(大げさ)。

①冒頭5分で裏稼業の概念破壊

冒頭の談合シーンで、陣八郎の「いい憂さ晴らしになるな」の発言にリュウが反発、涼次は「金で請け負ったらただの仕事だ」とリュウをからかい、「この稼業が続けられるのは、世のため人のためになればこそ」というリュウに、小五郎は「そういう思い上がりは感心しない」と突き放します。

この辺の若き仕事人の葛藤に関しては、「仕置人」の棺桶の錠や「仕事人Ⅲ」での順之助でも描かれていて、シリーズが続く中でも解釈が揺れている部分。この後のストーリーに関連する伏線でもありますが…。

しかし、必殺の基本理念は、「仕掛人」のOPナレーション「はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す」であり、「仕置人」の「のさばる悪を何とする 天の裁きは待ってはおれぬ この世の正義もあてにはならぬ 闇に裁いて仕置する」です。
だからこそ、「仕置人」第1話のラストシーン、念仏の鉄の「おめえみてえに世のため人のためなんて綺麗事言ってたんじゃ、すぐへたばっちまうんだよ」というセリフが生きてきます。彼らは大手を振って世の中を闊歩する悪人を常に許せないと思っていますが、そいつらを仕置するには金銭がなければ完遂できないと悟っているのです。

他シリーズも同様で、仕事人たちは殺し屋としての非情さを語ることはあれど、行動原理は「悪を憎む感情」なんです。「頼み料」はドラマとしてのひとつの演出装置なだけであって、ストーリーがそれに縛られては本末転倒になってしまう。

今作品の冒頭のシーンだけ見たら、メンバーは(特に涼次は)ただ金のためだけで仕事を請け負っています。悪を憎む心は皆無。他作品では「外道仕置人」として始末されても仕方がないほどのマインドぶりですw

仕事人が非情であることは、必殺シリーズにおいては「スパイス」であって「主食」ではありません。非情な殺し屋集団を描くハードボイルドドラマならいざ知らず、「のさばる悪を仕置する」という「必殺」シリーズの最も大切なエッセンスを見失っていることが、冒頭5分で早くも露見しちゃってるんですよね…。

実は「仕事人2007」として復活して以降、スタッフの口から「ハード路線(単に「ハードっぽいってだけなんだけど」)」が語られることがよくあるんですが、上記のことがスポーンと抜け落ちていたりします。この「ハード路線」こそ今作品をギッタギタにぶち壊したキーワードなので、頭に入れておいてくださいw

②東山、ほっしゃんを華麗に惨殺

冒頭でリュウが仕事の際、娘の敵討ちに現れた喜平に顔を見られ、それを見た小五郎はためらうことなく喜平を斬殺。
「頼み人に顔を見られたらどうするか、忘れたか!」とリュウをぶん殴ります。

…アホかっ! お前、その前の仕事で、顔を見られた従者を殺さずにみね打ちしてんじゃねーか!

顔にマフラーしてるから平気って論法なんだろうが、そんな目が切れ長でしょうゆ顔した同心、誰でもすぐわかるよっ!w

さらに最後の殺陣で、顔を完璧に見られてる長見玲亜ちゃん(どうでもいいけど、この娘と清原果耶ちゃん死ぬほどかわいいね、この辺のチョイスは大当たりw)には「こんなことしてる暇があったら、漢字の一つでもおぼえろ!」で終わりとか…。

なんだよ、ほっしゃんは殺して玲亜ちゃんは殺さないのかよ!わかるけどひどいよ!www

まあ、顔がバレるバレないをドラマとして突っ込むのは野暮な部類ではあるんですが、やはり看過できないのは小五郎が喜平を斬り殺すのになんの苦悩もしていないこと。
上記で触れたとおり、これも「ハード路線」の演出なんでしょうが、ホント、スタッフはバカじゃないかと思うんですよ。

正気ではないとはいえ、喜平は普通に被害者です。
その善良な市民を斬殺した小五郎がこのあと悪人を仕置して、視聴者は小五郎に感情移入できますか?

設定ではいいんですよ、「仕事を見られたら殺す」で。
だけど、実際にそれを見たら視聴者がドン引くし、ドラマとしても必然性がまるでありません。だから、過去シリーズでも仕事人が目撃者を殺したシーンはないんですよ。仕事を見た人間は、なんらかの理由で仕事人以外の人間に殺されるのがほとんど(「新仕事人」最終回とか)。

今作品なら、「喜平は相手と同士討ちで果てる」ってストーリーにしちゃえばいいじゃないですか。そこに小五郎が入ってきてリュウを咎めるだけで、ドラマとしては十分なんですから。ズレた「ハード路線」の悲劇というか、ドラマ演出としては逆効果なことに脚本家やスタッフは気づかなかったのでしょうか?

ちなみに「仕事を見られたら殺す」という掟は、逆に「殺すべき目撃者を殺さない」ドラマ演出のためにあるといっても過言じゃないと思います。「仕置屋稼業」1話での市松が女の子に殺しを見られ、竹串を向けるとその子が盲目であることに気づき、優しく抱き上げる話とか。

前述の「新仕事人」最終回では、秀は10年ぶりに会った目撃者の娘を殺せず、勇次と対立します(考えてみれば、今回の幻楼と小五郎のB面みたいな話ですな)。そして、自分の窮状を顧みず娘を逃がしたものの、結局彼女は亡くなってしまい、涙して裏稼業の虚しさを噛み締めるのです。

しかし小五郎にいたっては…喜平殺しに何の感傷もなし! なんなのそれ?

こんなの、ただの殺人常習者じゃないですか。視聴者はどこにカタルシスを解消する要素があるんですか。開いた口がふさがりませんよ…。

③中村主水を頼み人にする愚挙

そして、「必殺」世界観が徹底的に破壊されている今作品の中でも、過去現在未来の「必殺」ファンを冒涜する暴挙だと思うのがこれです!

両親の仇である幻楼を殺すのに「頼み人」がいないため、「ただの人殺しになってしまう」と憂う小五郎に、「仕事料」を払う主水。「これでせめて、鬼でいられそうです――」と安心する小五郎…。

って、ふざけんなよっ!
わざわざ昔の映像引っ張り出してきて、主水さんに何させてんだよ!(大激怒)

旧作を見てる方ならわかる通り、こういった依頼人がいない場合、「依頼人は…この俺だ」で、その金をみんなで分けて仕事するのがよくあるパターンです。つまり、「頼み料がない」ことは重大な事件でも何でもないんです。①でも触れたように、「頼み料」はただの演出装置なんですから。

こんな倒錯したエピソードをあたかも「仕事人の哲学」として偉そうに演出できるのは、ひとえに「必殺」シリーズの大切なテーマ「はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す」を見失っているからに他なりません。

しかも、そんな「必殺」世界観の完全破壊を、「必殺」シリーズ最大の主役である中村主水の映像をわざわざ持ち出して行うというイリーガルっぷり!
お前たち、本当に藤田まことさんに祟られるぞ! 

制作側にとって、「ただの人殺し」ってのはどういう人物のことを言うんでしょうかね?
こだわっちゃうけど、殺しの目撃者である喜平を無残に殺し、一顧だにしない人物なんて、すでに「ただの人殺し」でしかないと思うんです…。

④イベントましまし設定スカスカ

もう、あとは破綻した設定を箇条書きで挙げていきますが…。

・キャラをとにかく詰め込むだけ詰め込んで、人物像が崩壊しちゃってる壬生の幻楼!

・冒頭で喜平に武器を持たせて敵討ちをけしかける意図が不明だし、雀蓮がリュウを襲い、記憶喪失のまま囲い込んでる目的もよくわからん!

・大量の武器・弾薬・暗器を用意してるのに、大乱を起こそうとしている気配はないし、その費用や子供たちを囲う生活費がいったいどこから出てきてるかもわからん!
パトロンのすずらんもまったく同様! どこにその金あんの!?

・おりんとリュウが涼次を見逃した代償として、若夫婦に演じさせて人間爆弾にする…ってなんなの!? もともと焙烙玉抱えさせてたくさんの人間を爆死させるのがデフォなんだから、特別な感じがまったくしないじゃん!
しかも、おりんは始末してリュウは殺さないってロジックも不明だし!

・すずらんの死に方なんなの!幻楼に斬られて川に落ちた後、しばらくしてから船にしがみついて絶命とか、ゾンビか! よくそんなかっこ悪い死に方を黒木瞳さんにさせたな!


…ぜいぜいぜい。

とにかく物語にイベントを盛り込みすぎて、細かな設定がおざなりなんですよね。
爆発のCGがチャチいとか、奉行所の看板がパソコンのフォントっぽくて丸文字とかは、実はまだ許せる方で。

テレビの制作現場が時代劇を作れなくなってきているって話は知ってますが、こうなると、時代劇・現代劇関係なく、ただドラマ作りの基本を知らないだけなんじゃないかと思うんですよ…。

* * * * * * * *

ホントは今作の筋立てって、ちゃんと「必殺」シリーズのテーマを理解していれば、もっとシンプルに作れたんじゃないでしょうか。

急進派を装い、多くの子供たちを死に追いやる大悪党・幻楼と、最強の参謀・雀蓮。
幻楼に騙された悲劇のヒロイン・すずらん。

幻楼に刺されたすずらんが仕事人たちに殺しを依頼。


こうするだけで、幻楼と雀蓮のキャラも描き込めた(特に雀蓮はもっと強さを際立たせた人物にしておけば1vs3の殺陣も説得力が増したはず)し、すずらんに感情移入できるエピソードもできて、変な死に方もしなかったはずなんですw
主水出演を売りにしたいなら、過去の殺陣シーンを抽出して挿入すればよかっただけだし。

前作の「仕事人2016」はよくできていたんですけどねー。

奉行所リストラにまつわる悪事を働く朝比奈一味の手にかかり、非業の死を遂げた小五郎の同僚・結城の恨みを晴らす…というシンプルなストーリーに、はつ・お絹らの家族エピソード、幼馴染・鬼頭と同僚・河原崎の裏切りなどが肉付けされており、安田顕・田口浩正の好演も相まって、最高のカタルシスをもたらしていました(最後に切腹を朝比奈が懇願するエピは蛇足だったけど)。この10年で最も成功した「必殺」スペシャルだったかもしれません。

それが今作となると、まずストーリーの根幹がおかしい上に、肉付けにならないところばかりエピソードが膨らんで、結果、視聴者がなんの満足感も得られないという地獄の結末…。

「ジャニーズ必殺」と揶揄されるようになった「仕事人2007」以降で、レギュラーキャストの演技に物足りなさが残るのも事実なんですが、不満なのはそこじゃないことが改めてよくわかりましたよ。むしろ、レギュラーキャストは被害者といってもいい。

結局、「必殺」マインドを失ったスタッフが作る「必殺」は、たとえ中村主水の映像を引っ張り出してきても、「必殺」のイミテーション時代劇にしかならないのです――。

最後にひとこと言わせてもらいます。

「スタッフ、てめえら必殺仕置人第1話『いのちを売ってさらし首』を100回見直してこいっ!」


またもや長文失礼いたしました。
久しぶりに「必殺魂」が着火しましたよ、まったく…。ファイヤー!


必殺!インタビュー<ホームドラマch>

◆想い出の伊東はハトヤ(く、苦しい…)

必殺DVDマガジン 仕事人ファイル 1stシーズン壱  必殺仕置人 中村主水 (T☆1 ブランチMOOK) (T☆1 ブランチMOOK)藤田まことさんが亡くなったからではないと思うのですが、このタイミングで時代劇専門chでは「新・必殺仕置人」が、ホームドラマchでは「必殺仕置人」が4月から放送されることとなりました。ヤンヤヤンヤ。

で、その宣伝のために上記2つのチャンネルでインタビュー番組が放送されたのですが、亡くなる直前の藤田さんのナレーションつきという力の入った時代劇専門chと比べ、ホームドラマchの「必殺!インタビュー」は、秀役の三田村邦彦さん一人のインタビューの前後編という、なんとも拍子抜けなものw


もう、各方面の必殺シリーズにまつわるインタビュー記事を読んでいたので、この三田村さんが「仕事人」をいかにイヤイヤやっていたかは知っていたのですがw(26話で降板するつもりだった、とかね)、待てしばし。


「歩く演技でたった一歩踏み出しただけで『あかん!』と言われた」

とか、
誰かが長屋に入ってくる際に、入ってきた人間の方向を見て「気づく」演技をした三田村さんに、

「いかん、兄ちゃん、それは弱い人間がすることや。強い人間はわざわざ人の気配がする方向に振り向かん。ちょっとこうやったら(上目に一瞬目配せして)ええ」


…と言われ、実際にラッシュを見たらホントにその通りだったので、「こりゃかなわない」と思ったとか。


当時劇団にも入っていて、「限りなく透明に近いブルー」の主演俳優だった三田村さんがクシャクシャにされる製作現場。


例えば、マスコミでは小栗旬が「演技に対して厳しさがあってよくスタッフと衝突している」なんて話を喧伝してるけど、果たしてみんなここまで突き詰めて演技をやってるんだろうか?とか思ってしまうワケですよ。

ドラマに出演する若手俳優の棒読みな台詞まわしを聞くに、これだけの厳しさを今のドラマ製作陣が持っていたら、もうちょっと男が見ても魅力ある俳優が画面にはいっぱい登場してるのになぁ、と思った次第。

まあ、「必殺仕事人2009」とか見るに、必殺シリーズの今の製作陣もどうなんだろ、とか思うけどねw


ちょっとリハビリがてらなんで、まずは軽い話題で。

しばらく放置してすんませんでした。
こちらのブログもぼちぼち更新していきますw




剣客商売スペシャル 道場破り

◆奥さんとの歳の差は26歳

剣客商売スペシャル 決闘・高田の馬場 [DVD]ポニョだかパフェだか知らないが、人間になりそこなった半魚人アニメの騒ぎのおかげで、本放送の放映を見逃してしまった私。

ネットでようやく探して視聴したのですが、まさかその直後に藤田まことさんが亡くなってしまうとは。

ここは藤田さん追悼で書きたいところなんですが…。


今回のスペシャル。
ゲストは中村梅雀さん。はい、これだけで、傑作確定w

秋山小兵衛と鷲巣見平助の会話のシーン。もう、この二人が語り合ってるだけで、泣けて泣けてしょうがないのです。
しかも、中村梅雀さんの殺陣は、殺気もあって鮮やか!
隠れた才能というか、歌舞伎役者なら当たり前なんでしょうか? いつもおとぼけおっさん演技しか見ていなかったので、かなり意外でした。


もうひとつ。BGMにクラシックが用いられているのが今シリーズの特徴なのですが(「SP」もそうでしたな)、アルビノーニ・ジャゾットの「アダージョト短調」が流れた時点で、はい神作認定www

この曲、向田邦子さんのドラマで有名な曲なのですが、その物悲しい曲の調べは、サザエさんの食事シーンですら最後の晩餐に見えてしまうほどの破壊力なのです。



家族を捨て、剣の技を磨くことに没頭していた過去を告白する、剣客の業ともいうべき胸を締め付けられるシーンにこの曲が乗せされたら…そりゃ号泣するわw


と、ほめるところはほめておいてw

それだけに、シナリオが残念でしょうがないんですよ。
ひと言で言うと「逃げてる」と。

* * * * * * * * * *

例えば必殺シリーズ。
悪役にも、思わず同情してしまうような、「できれば助けてやりたい」ような悪人が登場することがあります。
家族の不幸を避けるため、第三者にそそのかされて、出来心で…、善人だった故に悪に手を染めるしかなかった弱き者たち。
そういう人間にも、仕事人たちは容赦なく正義の仕置を下すのか?ドキドキ。

…って、やきもきさせたくせに、結局別の極悪人が登場して、心弱き悪人をあぼーん。
極悪人を仕事人が仕置。勧善懲悪。


例えば鬼平犯科帳。
「犯さず殺さず貧しき者から奪わず」の掟を守る盗人の弟子が、急ぎ働きの非道盗賊に。
その非道盗賊を成敗した正統派盗人に、鬼平はどんな裁きを下すのか? ワクワク。

…って、やきもきさせたくせに、結局非道盗賊の仲間が登場して、正統派盗人をあぼーん。
非道盗賊の仲間を火盗改めが成敗。勧善懲悪。

* * * * * * * * * *

罪と罰。「善良なる悪人」を前に、主人公側はどう向き合うのか。
そんな重いテーマでシナリオを構築してるにもかかわらず、視聴者にカタルシスを与えるという名目で、わかりやすい「極悪な悪人」をスケープゴートにして強引にチョンチョン。肝心なテーマの解答は放りっぱなし。

相撲で、曙級の強烈ぶちかましが来るな!…と思ったら、体重は稲川淳二級だったという肩透かし。
そんなお話を見ると、土俵の中心で「未熟者がぁぁぁッ!」と叫びたい(@播磨灘)くらい、ガッカリしちゃうわけですよ。

(まあ、必殺も鬼平も、ちゃんとその重厚なテーマをきっちり消化した良作もあるので、名シリーズとうたわれているワケですが。
余談になるけど、ジャニドラマと化した「必殺仕事人2009」でも、「善良なる悪人」を前にして冷徹に始末するという、夢見は悪いもののwハードボイルド性を重視したストーリーが何本かありました。メインキャストの演技や演出さえしっかりしていれば、名作になっていた…かも)


残念ながら、今作の「剣客商売」もその類でした。

もはやドラゴンボールの悟空のごとく「強い剣客と闘いたい」という一念の鷲巣見平助に対し、平助を救ってやりたいと思いながらも、剣客の習いに従い、対決を受諾する秋山小兵衛。
しかし、その前夜。平助に道場破りされた大場道場の門弟たちに襲撃されて、殺されてしまうという肩透かし…。

娘のために行った道場破りが仇となり、秋山小兵衛との対決が果たせなかったというシークエンスは、母娘が自分たちを捨てた平助の願いを阻止したという皮肉な寓話とも読み取れるのですが、ここで重要なのは「剣客商売」という作品の本質。


『戦国乱世は遠い昔のことながら、武士の魂やはり剣。あえて戦(いくさ)がなければこそ、腕におぼえの剣客どもは、売り込み合戦に明け暮れる。いやまさしく、昨今剣術は商売なり』


これは、TV版初期のOPナレーションですが、「剣客商売」のテーマは、まさにこの「剣客」という存在そのものなわけで。

ならば、今作はやはり、最強の剣客と刃を交わすことを願った平助に対し、正々堂々小兵衛がその勝負を受け、平助を斬り伏せねばならなかったのではないかと。
平助が大場道場の門弟に殺されて、その仇を秋山親子が取るという展開は、物語としては必然でも、「剣客」の生き様を見せるには不十分だったのではないかと思うのです。


で、一つ同情すべき点として、もしかしたらシナリオではきっちり対決シーンがあったのに、藤田さんの健康面の部分から、シナリオが変更された可能性があるんですな。


さあ、ようやくつながった。
結局、何が言いたかったかというと、この「剣客商売」を見る視聴者としての立ち位置で考えた場合、この時点で藤田版秋山小兵衛は、物語の進行において支障をきたしていたんではないか…と思わずにはいられなかったのです。


藤田さんも病気だし、この中村梅雀さんを後継に…と書こうと思ったら、藤田さんが亡くなっちゃったという…。


…とりあえず、藤田さんに対するボクの気持ちはまた稿を譲るとして。


もともと、秋山小兵衛のモデルは、歌舞伎役者の中村又五郎さんと言われています。
今回の出演もひとつの縁、ここはひとつ、同じ歌舞伎役者である中村梅雀さんに後を譲り、良質な時代劇ドラマであるこの「剣客商売」を続けていってもらいたいな…と夢想せずにはいられないのであります。 


しかし、この中村梅雀さん、ベーシストとしても有名で、グループ魂の「東京メドレー」の題材にもなったとか。
う~む、人は見かけによらぬもの…(すんません)。



龍馬伝

◆三菱がアップをはじめました


龍馬伝 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)一応、最近の大河ドラマは全部チェックしてるので、今回もまったく期待しないまま視聴していますが…。


案の定、面白くないw


某掲示板上でも「龍馬が空気」「広末イマイチ」「佐藤健どう考えても人斬り以蔵じゃねー」「ソルシア元気すぎんだろ」「なんか画面が汚い」など轟々たる批判が高知の黒潮のごとく渦巻いておりますが。

これ、マンガでもよくある話なんですが、ボクが一番の問題だと思うのは「主人公のキャラがまったく立っていない」ことなんじゃないかと。

今回の大河ドラマは、映画「アマデウス」のアマデウスとサリエリのように、才気溢れる太陽の天才・龍馬と、貧乏をこじらせた卑屈で矮小な野心家・岩崎の二人の対比が軸となっています。
(第1話の岩崎の回想録から始まるくだりとか)

でも、そのため、岩崎弥太郎を描くことでドラマの半分が費やされ、肝心な福山龍馬のキャラを描ききれないという、本末転倒な欠陥が生じてる気がしてならないのですな

また、その対比的な岩崎に、香川照之という稀代の名役者がキャスティングされてしまったため、ますますもって龍馬が目立たないハメに(これじゃまさに「岩崎弥太郎伝」w)。


だいたい、視聴者が坂本龍馬に憧れる最大の魅力は、藩などの大きなバックを持たずに、その先見性と個人の才覚だけで国家を変容させたという、エネルギッシュな人物像に尽きます。

今の経済的にも政治的にも袋小路で沈滞ムードマンマンのお茶の間が求めているのは、「常識」を「異端」で木っ端微塵に破壊するスーパースターなわけで、そんな状況で「坂本龍馬」が今回の大河ドラマの主役にセレクトされたのは、まさに時代の必然ともいえるわけで。

なのに、そのワイルドでなくてはならない龍馬を、根がスタイリッシュで鼻声ボッソボソの福山アニキに、大して暴れさせず、そのまんま演じさせてどうするのよ!?と。

それこそ香川照之や、「JIN-仁-」で龍馬を演じた内野聖陽のように、キョーレツでハチャメチャなバガボンドを、制作側は演出してやらなきゃいけないのに…。

あー、物足りない。まるでデニーズのDEVIL'S チョコレートサンデーのチョコアイスが全部ただの寒天になってるような物足りなさ。


さらにさらに、映像手法もかなり不満だったりして。

確か月9の「素顔のままで」あたりから使われ始めた手法だと思うんですが、ソフトフォーカス&ハンディカメラを多用した、手作り感を演出する画作りも、地デジこのかた、はっきりくっきりの画面に慣れてきた視聴者にとっては、眠気を助長させるだけ。

キャラクターがみんな地黒に見える、肌の質感にこだわった描写は好きなんだけどね。
あれって、まさに当時の幕末写真に共通する浅黒さで、そんなところだけ、ずいぶんマニアックに演出してんなぁと思うw


次回からの貫地谷や谷原の登場で、画面はずいぶんバラエティになってきそうな気がするけど、スッカスカの福山龍馬をどこまで補えるか、ある意味注目です。


最後にひと言。

岩崎の父親役の蟹江敬三が、斧を持って村中の人間を殺しまくりそうに見えたのは、Gメン75世代にはきっとわかるはずだw






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プロフィール

編集・秋

Author:編集・秋
年齢:昭和44年生まれの53歳。
   ゴミのような人生。
   五味龍太郎のような人生
   ではない。
職業:「近代麻雀」等、元(涙)編集
趣味:ギャンブル(競馬・麻雀等)
   プロレス・F1観戦、お城の
   旅行、坂道グループ鑑賞
   ほかいろいろ
貯金:マイナス100万
   (助けて…)
ギャンブルの負け金:約1800万(減らんなぁ…)
座右の銘:ワルツにはワルツを、ジルバにはジルバを
(byニック・ボックウインクル)

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